便論糞ぷん

生態系の要はウンコ

[便論糞ぷん]

posted on 2011.02.28

太陽エネルギーを使って光合成を行い、無機物から有機物を作る植物。
その植物(有機物)を食べる動物。動植物の遺体(死んだ有機物)を分解して無機物に戻す菌類。この無機物→植物→動物→菌類→無機物→・・・という循環が、生態系が成り立つ基本だ。
そしてすべての生き物は、必要な栄養を得るために食べて、要らない物をウンコとして捨てて、生きている。

○人間も含めて動物は、たとえ肉食動物でも、最初に植物が作った有機物を食べて、ウンコをする。
○体内に消化器官を持ってない菌類は、体外に酵素を出して、動植物の枯れ葉や落ち葉、死骸やウンコといった有機物を分解し、その中から自分に必要な有機物を吸収し、要らない無機物はそのまま捨てる。いわば、この吸収されなかった無機物が、菌類のウンコだ。
○植物は、菌類のウンコである無機物を吸収し(食べ)、有機物を作って自分の栄養にするが、その時に光合成で余分に出来てしまった酸素は要らないから捨てる。つまり酸素は、植物のウンコであり、気体だから「植物の屁」といっても良い。
つまり動物は、植物の体を食べ、植物の屁(ウンコ)を吸って生きている。

このように、植物・動物・菌類は、お互いに必要とする物と要らない物がそれぞれ違い、食べ物がウンコとなり、ウンコが食べ物となって命を繋いで行くのが生態系なのだ。
「ウンコは汚いカスだ」という認識を改めなければ、生態系の真の姿は見えてこないし、あなたが生態系の中で生きて行く資格も無い。

※誤字ありましたので訂正しました。

トイレでしたウンコはどうなる?

[便論糞ぷん]

posted on 2011.02.04

みんな当たり前にトイレでウンコをしているが、その後ウンコがどうなるか知っているだろうか?
以前は下肥として田畑に撒かれたり、海洋投棄して魚に食べられたりと、ウンコは多くの生き物の栄養となって自然の中で循環していた。
しかし現在は不衛生だからと、ほとんどのウンコが焼却処分されている。

私の住んでる町のクリーンセンター(屎尿処理場)では、8万人弱の住民の糞尿を処理しているが、その量は年間26800トン(21年度)だった。
この田舎町には本格的な下水道は無い。農業集落排水という小規模な下水道と、各家庭の合弁浄化槽から運び込まれる汚泥が、その内の7割を占める。残りの3割が、汲み取り式トイレからの糞尿だ。また、26800トンの中には、尻を拭いた紙などもある程度含まれる。

糞尿を活性汚泥法で分解して汚泥にしたり、水分が9割も含まれる汚泥を絞って脱水するなど、処理場を稼働させるために、年間164万キロワット時の電力を消費する。また、脱水した汚泥を乾燥し、消却するために、年間12万リットルの重油を燃やしている。汚泥自体も燃料になり、さらに乾燥には焼却熱を利用するなど、節約と効率化を図っているが、それでもこれほど大量の重油が必要なのだ。
焼却後の灰は、年間75トン出るが、これは一般廃棄物として業者に引き渡される。この焼却灰の処理については、まだ調べていない。

今のままでは、生き物の命に繋がるウンコが自然に返らないだけでなく、大量の資源とエネルギーを浪費し、環境を汚染してトイレウンコは始末されるのだ。
TOTOさん、INAXさん、水洗ばかりに血道を上げずに、循環型次世代トイレを開発してください。超節水トイレは、ただの気休めです。

下肥はどんな味?

[便論糞ぷん]

posted on 2011.02.02

一昔前までの日本の農業では、ウンコやオシッコは大切な肥料だった。糞尿を肥溜めに満たしてしばらくおき、下肥として熟成したかどうかは味を見て確かめたという。私が糞土の味見をしようと考えたのは、じつは「下肥の味見」がきっかけだった。

しかし糞土は、主に土の中にいる菌類が好気性分解して出来たものだ。それに対して下肥は、元々ウンコの中にいた腸内細菌が、肥溜めの中で嫌気性分解したものだ。同じウンコの分解物でも、何か違いがあるかもしれない。下肥の味を教えてもらおうと、まだ現役で百姓をしているSさんを訪ねた。

Sさんは昭和40年(1965年)頃まで、実際に下肥を使っていた。しかしSさんが熟成の目安にしていたのは、味ではなかった。1年かそれ以上経って肥溜めの中で発酵が終わり、臭いが無くなることだった。そして、自分では口にはしなかったが、おじいさんの代の人から下肥の味を聞いていた。それは、甘い!
私の味調査でも、糞土はむしろ旨かったし、1点だけだが「ほんのり甘い」という記録がある。やはり下肥も旨かったのだ。私はうれしくなった。そしてSさんはこんな話もしてくれた。

「今は化学肥料ばかり使うから畑の土が硬く固まってしまったが、下肥を使っていた頃はやわらかくてふっくらしていた。そして作物に病気が出ても、下肥をまけば病気は治ってしまった。」
下肥に殺菌効果があるというよりも、非常に優れた養分があるから作物が元気になり、病気をはねのけてしまったのだろう。こんなにすばらしい下肥がどうして廃れてしまったのか、本当にもったいない。化学肥料の手軽さと清潔志向が、結果として土を殺し、大量の農薬を使わせている。

糞土はどんな味?

[便論糞ぷん]

posted on 2011.01.16

野糞をして土に埋めたウンコは、夏場なら一ヶ月ほどで分解が済み、無臭の糞土になる。さらに糞土はミミズに食べられて団粒土になるが、その野糞跡には豊かな養分を求めて多くの木の根が伸びてくる。植物にとって、野糞跡はまちがいなくご馳走のかたまりだ。では糞土や団粒土は、いったいどんな味がするのだろう。

私がはじめて味見をしたのは2008年の6月。12月にした野糞の半年後のもので、低温で長期熟成され、さらに団粒土になった糞土だ。
それは口に入れたとたん、唾液にとろけてねっとりまろやか。甘さや苦さ、酸っぱさなどの特別な味はないが、あまりの穏やかな風味に、ウンコであったことなどたちまち忘れてしまった。何かしら味が感じられないかと口の中を転がしているうちに、上品なコクが広がってきた。その旨さに、私はいっせいに根を伸ばしてくる木の気持ちが理解できた。

その後2009年には、夏場の野糞跡で8点、最短19日後、最長194日後の糞土の味見をした。
19日後の糞土は少し湿気があり、泥状でカビも生えていた。ほとんど無味だが、わずかに土かカビのような風味があり、うまくはないがまずくもなかった。
8点のうち半数は団粒土になっていたが、糞土のままより団粒土の方が、コクがあってうまかった。そんな中で91日後の団粒土は、ほんのり甘さがあった。

なお、うまいと思った野糞跡ほど、木の根や植物の芽生えが多く見られた。
植物だって、うまい野糞跡に寄ってくるのだ。ナットク!

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その4

[便論糞ぷん]

posted on 2010.03.13

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その1はこちらから、
その2はこちらから
その3はこちらからお読みください。

2:冬場の野糞分解

 冬は寒さのため、ハエもアリもフン虫もほとんど姿を現さず、昆虫による食分解はあまり見られなかった。しかし獣が掘り返した割合は、餌不足のせいか、夏よりも多かった。
 その一方でカビの活躍が目立ち、ウンコ全体を白くカビが覆うものが多数あった。しかし分解速度は非常に遅く、冬場の調査は12月から3月までの4ヶ月間で行ったが、最も分解の進んだものでも、かろうじて柔らかチーズ状までだった。これは夏場の分解の2〜3週間分に相当し、およそ5倍の時間がかかっている。
 なお、バフンヒトヨタケの菌核の発生量は、夏の調査時よりもはるかに多かった。
 その後5〜6月に、掘らずにおいた残りの調査用野糞を掘って調べたところ、ミミズや団粒土が現れ、樹の根も少し伸びてきた。分解が滞っていた冬場の野糞でも、暖かくなればきちんと分解が進んでいた。
 さらに秋になると、バフンヒトヨタケだけでなく、アシナガヌメリも大発生した。このキノコはアンモニア菌として有名で、ウンコの中にあった蛋白質が分解してできたアンモニア(毒性あり)を分解吸収してくれたのだろう。

 私はキノコ写真家として30年以上、各地にキノコを追い求めてきた、しかし、アシナガヌメリには3〜4回しか出会ってない。じつに10年に一度という珍しいキノコだ。それなのにこの冬場の野糞調査では、63点の調査野糞のうち、なんと37点に発生した。6割の発生率という、とんでもない数値だ。おまけにこのキノコは菌根菌でもある。分解が遅いからと、多少の不安があった冬場の野糞だが、ニンゲンの想像をはるかに超えた自然の力に脱帽した。そして野糞の正しさにも、なお一層の自身を得た。

※もっと詳しい調査内容やデータ、写真などが『くう・ねる・のぐそ』(山と渓谷社)や『ノグソフィア』4〜6号に掲載されています。興味のある方はそちらをご覧ください。

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その3

[便論糞ぷん]

posted on 2010.03.09

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その1はこちらから、
その2はこちらからお読みください。

③ 木の根による、分解された無機養分の吸収
 ミミズのはたらきで糞土が団粒土になると、豊富な養分を目当てに、すかさず野糞跡に木の根が伸びてきた。最初に木の根を確認したのは42日後の野糞跡で、日を経るごとにその出現率は高くなった。3ヶ月目では43%、4ヶ月目には70%の野糞跡で団粒土を覆うように大量の根が伸び広がっていた。
 おまけに64日後からは、その根のあちこちに菌根が現れた。菌根とは樹の根にキノコの菌糸が絡まりついてできたもので、そこで樹とキノコが共生している。菌根ができると土中の養分の吸収が促進され、樹木は元気に成長できる。

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その2

[便論糞ぷん]

posted on 2010.03.08

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その1はこちらからお読みください

② 腸内細菌(バクテリア)と、土中にいる菌類(カビとキノコ)による分解 
 ウンコの中には、元々腸の中にいた大腸菌や乳酸菌などが大量に含まれる。肛門から出てからも、それらのバクテリアがウンコの中で嫌気性分解を進めるため、数日するとウンコはトロトロの粘液〜泥状になり、匂いは糞臭からヘドロ臭に変わってゆく。
 バナナ、トグロ、半練り、下痢便など、ウンコの状態の違いや温度、環境などによっても差はあるが、遅いものでは3週間後くらいまで、この状態が見られた。

 次に、土の中にいるカビが取り付くと、ウンコの表面や周囲から好気性分解が始まる。すると嫌気性分解でトロトロだったウンコは、表面から徐々に固まり始め、弾力のある皮で包まれたゴムまり状になる。さらに内部まで分解が進むと、つきたての柔らか餅やコンニャク状になり、ついにはしっかりした肉質のチーズ状になる。それに連れて、匂いの方はヘドロ臭が弱まっていき、エビ・カニ臭や痛んだ野菜臭などの異臭になり、さらにはクローブ(丁字)のような香辛料臭に変化する。なかには旨そうなキノコ臭や、針葉樹の樹脂臭そっくりの爽やかな香りを放つものもあった。チーズ状の香辛料臭にまで分解が進むのに、早いものでは9日後、遅くても2ヶ月後までだった。さらに分解がすすめば無臭の土状になり、これを私は「糞土」と呼んでいる。最も早く糞土が現れたのは19日後で、およそ1ヶ月後には大半が糞土になった。
 糸状や膜状に広がるカビとは違って、直径数ミリの球形で全体白色、成熟すると黒い表皮をまとう硬い菌の玉が、早いものでは10日後のウンコに現れた。これは秋に発生するキノコ:バフンヒトヨタケ菌核だった。

ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録

[便論糞ぷん]

posted on 2010.03.08

 ウンコを土に還すことの大切さはすでに述べたが、具体的に野糞がどのように分解し
てゆくのか、疑問や不安を抱く人は多いと思う。実際に野糞跡を掘り返してその様子を
見るまでは、正直言って私自身も確信を持てなかった。これは一つの例にすぎないかも
しれないが、関東平野北部の山里で行った160点余の調査をもとに、野糞分解のあらま
しを解説する。

1:夏場の野糞分解

① 動物による食分解
 脱糞直後に飛来して、まっ先にウンコを食べはじめるのがハエだ。ほぼ100%やって
来るキンバエなど、その種類は幾つかあるが、特にセンチニクバエは出したてのウンコ
に多数のウジを産みつける。そのウジの食欲は凄まじく、他人の出しっ放しの野糞を
観察した時には、ウンコ全体に小さな穴が無数に空いて、まるでスポンジ細工の
ようだった。
嫌われ者のハエだが、ウンコの食分解においては、見上げたパイオニアだ。
 また、イノシシやタヌキ、野犬などの多くの獣も、野糞跡を掘り返してウンコを
食べる。
夏場の調査では、ほぼ一割のウンコが獣に食べられた。
 さらに、アリとフン虫(糞を餌とするセンチコガネの仲間)の活躍も素晴らしい。
脱糞後に最も早く掘り上げた4日後のウンコでは、アリが食べた直径1ミリ程の小さな
トンネルが幾つも空いていた。次の6日後では、径5〜6ミリのトンネルが無数に走り、
フン虫の一種:ツヤエンマコガネが何匹も現れた。ほとんどすべての野糞跡で、
アリとフン虫の食い跡を確認したが、フン虫の姿は1ヶ月未満のウンコでしか見られなかった。
それに対してアリは、単に食べるだけでなく、ウンコ全体を巣にしてしまい、
2ヶ月後でもその姿がたくさん見られた。
 さらに40日後以降になるとミミズが現れ、分解の進んだウンコをせっせと食べて、
団粒土を作ってゆく。団粒土とは、小さな粒状になった土で、養分豊富なうえに
通気性と保水性が良く、植物の根にとっては最高の土だ。
そしてこれは、ミミズのウンコでもある。

②に続く。

ウンコは良識の踏絵

[便論糞ぷん]

posted on 2009.12.05

糞土研究会ができて3年、糞土講演会や『ノグソフィア』『くう・ねる・のぐそ』などを通じ、ウンコの重要性は徐々にだが理解され、着実に世間に受け入れられつつあると思っていた。ところが最近新聞などで、ウンコというだけで頭から拒否されてしまうのだ。『食』と並んで非常に大切な『糞』なのだが、じつは現在の日本社会では最も嫌われ、差別されていたのだ。『野糞』に至っては犯罪扱いである。

たとえば2004年、法務省の人名用漢字見直しにあたり、市民からの削除要望が729通寄せられた。その中で過半数の383通が『糞』をあげ、2位の『屍』317通、3位の『呪』266通などを引き離して文句なしの1位だった。糞や屍が腐って土に還ってこそ、自然の中で物質循環が成り立ち、永遠の命の連鎖が可能になるというのに。単に汚らしい、忌わしいという感情だけで本当に大切なものが排除されていく社会に、私は大きな危機感を覚えた。しかもそれが、良識派を任ずる人たちによって推し進められていることに。

さらに現在、良識の先頭に立つはずの新聞社の幾つかでは、すでに糞の字を使わなくなったと、ある新聞記者から衝撃の事実を聞かされた。日本社会の清潔病が、そして行き過ぎた自己規制の危うさが、知らぬ間にここまで広がっていたとは!

私たちは生きるために、自然の中で育まれた多くの生き物を食物として食べる一方で、毎日ウンコを出し続けている。そのウンコ=人糞は、人にとってはすでにカスでも、他の生き物には大変なご馳走であり、命の源として自然の中で循環し続ける。しかもウンコは、人が自然に返せる唯一の物だ。自分を生かしてくれた食べ物=自然に感謝するなら、それを形に表すことができるウンコを無責任に放り投げたりせず、しっかり受け止めることこそ良識ある人のとるべき態度ではないのか。たとえどんなに高貴なお方でさえも、日夜せっせと糞作りに励んでいるのだから。

現在の日本社会には、「ウンコは臭くて汚い、遠ざけるべき物」という常識が蔓延し、残念ながらウンコの本質を真剣に考える風潮はほとんどない。しかし、より良い社会を目指そうという良識人を自任するなら、自分で出したウンコの後始末=ウンコをきちんと活かすことに責任を持つのが当然だろう。

人それぞれ主義主張が違い、生きている世界も様々だが、食とウンコだけは万人共通の絶対的なものだ。私個人の考えを他人に押し付けることはできないが、『ウンコの責任』だけは自信を持って皆に問い質すことができる。

『ウンコは良識の真偽を見分ける踏絵』なのだ。

 さあ、あなたはこのウンコを踏めますか?

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