ウンコはいかにして土に還るか:野糞跡掘り返し調査の記録その2
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② 腸内細菌(バクテリア)と、土中にいる菌類(カビとキノコ)による分解
ウンコの中には、元々腸の中にいた大腸菌や乳酸菌などが大量に含まれる。肛門から出てからも、それらのバクテリアがウンコの中で嫌気性分解を進めるため、数日するとウンコはトロトロの粘液〜泥状になり、匂いは糞臭からヘドロ臭に変わってゆく。
バナナ、トグロ、半練り、下痢便など、ウンコの状態の違いや温度、環境などによっても差はあるが、遅いものでは3週間後くらいまで、この状態が見られた。
次に、土の中にいるカビが取り付くと、ウンコの表面や周囲から好気性分解が始まる。すると嫌気性分解でトロトロだったウンコは、表面から徐々に固まり始め、弾力のある皮で包まれたゴムまり状になる。さらに内部まで分解が進むと、つきたての柔らか餅やコンニャク状になり、ついにはしっかりした肉質のチーズ状になる。それに連れて、匂いの方はヘドロ臭が弱まっていき、エビ・カニ臭や痛んだ野菜臭などの異臭になり、さらにはクローブ(丁字)のような香辛料臭に変化する。なかには旨そうなキノコ臭や、針葉樹の樹脂臭そっくりの爽やかな香りを放つものもあった。チーズ状の香辛料臭にまで分解が進むのに、早いものでは9日後、遅くても2ヶ月後までだった。さらに分解がすすめば無臭の土状になり、これを私は「糞土」と呼んでいる。最も早く糞土が現れたのは19日後で、およそ1ヶ月後には大半が糞土になった。
糸状や膜状に広がるカビとは違って、直径数ミリの球形で全体白色、成熟すると黒い表皮をまとう硬い菌の玉が、早いものでは10日後のウンコに現れた。これは秋に発生するキノコ:バフンヒトヨタケ菌核だった。