糞土師:伊沢正名(いざわ まさな)

1950年、茨城の田舎に生まれ、自然の中で育つ。
1963年、水戸の中学に進学。通勤通学列車内で大人社会の汚さを見聞きし、人間不信に陥る。高校では教育にも失望し、仙人を夢見て中途退学。安住の地を求めて貧乏山旅に出るが、行く先々で多くの人の温かさに触れ、人間不信は氷解。人間社会への復帰を決意する。
1970年、高校生中心の自然保護グループを作り、自然保護運動を始める。
1973年秋、動植物の死骸や糞を分解して土に還し、新たな命に蘇らせる菌類の働きを知る。暮れ近く、屎尿処理場建設に反対する住民運動の身勝手さに憤り、ウンコの責任に向き合う。
1974年1月1日、信念の野糞を始める。
1975年、自然保護運動に換えて、菌類・隠花植物専門の写真家を目指す。
1980年、トイレ使用も含めてウンコの全記録を取り始め、野糞術が進化する。
1988年、14冊目の著書(共著含め)『日本のきのこ』で自信を深め、プロ写真家宣言。
1990年、「正しい野糞のしかた」(当初は「伊沢流インド式野糞法」と称した)を確立する。
1999年、野糞を始めて25年、四半世紀をかけて、ついに年間野糞率100%を達成。
2000年暮れ、『日本の野生植物・コケ』の大仕事を終え、完全燃焼した虚脱感と達成感から、「もう死んでもいい」と本気で思った。残りの人生をどう過ごすか……写真で訴えることの限界を感じていたこともあり、ウンコと野糞への思いがますます募ってくる。
2006年、やり残していたキノコとカビの2冊の本、キノコの生態を扱った『きのこ博士入門』と『クサレケカビのクー』の出版を機に写真家を辞め、新たに糞土師を名乗る。
2007年、野糞跡掘り返し調査を敢行。野糞の分解過程と新たな命の誕生を確認し、「ついに糞土師になった!」と実感する。
2008年、糞土師として初の著書『くう・ねる・のぐそ』出版。糞土師誕生までの自叙伝。
2013年7月16日、2000年6月1日から続いた連続野糞記録が4793日で途絶える。昼食直後に腹具合が悪化。遂にこの日が来たか!と諦めの下痢便を新宿駅のトイレに流す。
2015年、舌癌になり、本気で死に向き合うことで、糞土思想がさらに深化する。
2020年、糞土思想の拡散に講演と本だけでの限界を感じていた上に、コロナ禍で講演会の中止も重なり、長年のインターネット拒否を破ってweb上で「対談ふんだん」を始める。
2021年、糞土思想のさらなる発展を目指し、古民家の母屋を改修し、講演会など様々なイベントが出来る宿泊可能な施設として糞土塾を始める。また、子どもたちの山遊びや自然教育、そして「正しい葉っぱ野糞」の実習などを行う林として、プープランドを併設する。
2021年8月末、累計野糞数が15400回を超える。

主な著書・共著書

1977. 『キノコの世界』 あかね書房
1988. 『日本のきのこ』 山と渓谷社
1995. 『日本変形菌類図鑑』 平凡社
2001. 『日本の野生植物 コケ』 平凡社
2006. 『きのこ博士入門』 全国農村教育協会
2010. 『カビ図鑑』 全国農村教育協会

2008. 『くう・ねる・のぐそ』 山と渓谷社 → 2014年に文庫化
2013. 『うんこはごちそう』 農山漁村文化協会
2017. 『葉っぱのぐそをはじめよう』 山と渓谷社
2019. 『ウンコロジー入門』 偕成社

偕成社