野糞は犯罪か
講演会などで野糞話をして、最も批判が出るのが都会の公園でする野糞だ。また、新聞やテレビなどで糞土師の主張をを取り上げようとしても大抵はボツになってしまったが、その第一の理由が軽犯罪だ。
野山では良くても、「街路、公園や公衆の集合する場所で大小便をすること」は軽犯罪法違反になる。本音は他にあるようだが、犯罪行為を公にはできない、というのはもっともな話だ。
ところで、この軽犯罪法(軽微な秩序違反行為)は戦後間もない昭和23年(1948年)に制定された。その頃はまだ下肥全盛で、多くのウンコは大地に返っていたし、町中やその周辺にも多くの自然が残っていた。そんな時代なら礼儀作法として、公園などでは野糞はやめよう、というのは私だって納得するし、賛同もする。しかし、時代は大きく変わってしまった。
環境破壊が急速に進み、都市はコンクリートで覆われ、土の見える地面は公園以外では激減した。おまけに人々の清潔指向は病的なまでに悪化して、落ち葉でさえもゴミとみなされて除去される。樹々の茂った公園でも腐植が無ければ、土はやせ細る一方だ。そんな青息吐息の土を元気にするために、都市の公園でこそ野糞が必要ではないか。下肥はどんな味?(2011・2・2)で書いたように、ウンコには土を豊かにする素晴らしい力がある。もちろん、出しっぱなしの汚らしいのや、大っぴらに野糞をするのは私だって大反対だ。正しい野糞をして土に埋めるのが都会の野糞では絶対条件だ。
旧態依然の軽犯罪法は見直して、これからは深刻な資源や環境問題に対応した、「野糞のできる公園造り」や「正しい野糞で森造り」を目指すべきだと考えている。