糞土はどんな味?

野糞をして土に埋めたウンコは、夏場なら一ヶ月ほどで分解が済み、無臭の糞土になる。さらに糞土はミミズに食べられて団粒土になるが、その野糞跡には豊かな養分を求めて多くの木の根が伸びてくる。植物にとって、野糞跡はまちがいなくご馳走のかたまりだ。では糞土や団粒土は、いったいどんな味がするのだろう。

私がはじめて味見をしたのは2008年の6月。12月にした野糞の半年後のもので、低温で長期熟成され、さらに団粒土になった糞土だ。
それは口に入れたとたん、唾液にとろけてねっとりまろやか。甘さや苦さ、酸っぱさなどの特別な味はないが、あまりの穏やかな風味に、ウンコであったことなどたちまち忘れてしまった。何かしら味が感じられないかと口の中を転がしているうちに、上品なコクが広がってきた。その旨さに、私はいっせいに根を伸ばしてくる木の気持ちが理解できた。

その後2009年には、夏場の野糞跡で8点、最短19日後、最長194日後の糞土の味見をした。
19日後の糞土は少し湿気があり、泥状でカビも生えていた。ほとんど無味だが、わずかに土かカビのような風味があり、うまくはないがまずくもなかった。
8点のうち半数は団粒土になっていたが、糞土のままより団粒土の方が、コクがあってうまかった。そんな中で91日後の団粒土は、ほんのり甘さがあった。

なお、うまいと思った野糞跡ほど、木の根や植物の芽生えが多く見られた。
植物だって、うまい野糞跡に寄ってくるのだ。ナットク!