大震災で、ウンコのタブーはどうなった?
東日本大震災から半年以上経っても、復興はまだまだです。特に最近は原発による放射能汚染や除染のニュースがにぎやかですが、むしろ私は、日々の生活に直結したトイレ事情が気になります。
水も電気も止まり、下水道も処理場も大きな被害を受けてまともにトイレが使えない状況下で、『正しい野糞』は“命をお返しする責任”以前の必然性を持ってるはずです。
95年の阪神大震災ですでに、トイレ問題の重要性は指摘され、「3・11大震災後は、ウンコ講演の依頼でひっぱりだこでしょう?」と、糞土師講演を聴いたことのある何人もの人から言われました。私自身、今こそ世間は野糞を見直す時だ、と思ってました。ところがギッチョン!
未だに被災地からのウンコ講演の依頼は一件も無し。それどころか、「ボランティアで講演にお伺いします」と資料を同封して誘い水を送っても、これまた反応無し。一人々々は排泄の重要性を痛感しているはずですが、講演会を聞いたりしてウンコや野糞を公にすることには、『良識』という巨大なタブーが立ちはだかっていることを改めて思い知らされました。(『ウンコは良識の踏絵』2009・12・5参照)
そんな中にも唯一の光明がありました。
震災で使えなくなったトイレの惨状を目の当たりにして、野糞の意義に気付いた岡田慎一郎さん(古武術を応用した介護福祉士・理学療法士)からインタビューを受けました。排泄の大切さだけでなく、死とも向き合う介護の現場にいる岡田さんは、私の野糞論を正しく評価し、一方の私も多くの事を岡田さんから教えられ、非常に実りのあるインタビューでした。
この記事は『訪問介護と介護』(医学書院)の11月号巻頭に掲載されます。前に紹介した『漫画実話ナックルズ』とは違い、こちらは気楽に手に取れます。