舌が命 - 糞土師最大の危機は乗り切れるか? 第5回
※「糞土研究会 ノグソフィア会報 21号(2015/12/31発行)」の記事を9回に分けて掲載します。
<第5回> 危険な講演再稼動
本格的な講演会の再開は、9月12日の兵庫県川西市と大阪での2講演(p.11~14参照)。続いて13日に京都の京(みやこ)エコロジーセンターで講演とフィールドワーク。いきなり二日連続のハードスケジュールになった。おまけに11日の晩は川西の糞っ玉母ちゃん宅にお世話になり、ビールとワイン(量は控えてチビチビだが)を飲みながらはじまった夕食はとめどなく盛り上がり、深夜1時まで話し続けた。
翌日は早起きして、朝食前に野糞に行く。午前の講演会と昼食が済むと皆で近くの公園へ行き、尻拭き用葉っぱの観察会。急ぎ大阪へ移動して、ここでも講演と夕食会で話が沸騰し、銭湯から帰ってからも夜更けの2時まで話し込んでしまった。
寝不足で京エコロジーセンターに着き、休む間もなくフィールドワークの下見をして講演会が始まる。終了後は、本誌で縄文人シリーズを連載している安田陽介さん宅にお邪魔した。安田さんの友人知人が十数名、三々五々集い、安田さんの○○祝いを兼ねて賑やかな宴が始まり、これもお開きになったのは夜中の12時。つまり、11日の夕刻から13日の夜中まで、睡眠時間も削ってほとんどしゃべりっぱなしの五十数時間を過ごしたことになる。口内炎はすっかりぶり返し、久し振りに痛み止めを飲むはめに陥った。それでもまだ休めない。
翌週の20日は栃木県益子町主催の土祭(ひじさい)で話し、25日からは北海道へ。26日の厚岸町では教育委員会主催で、27日は野付半島ネイチャーセンター、そして29日に釧路市立図書館で講演会。
おまけにこれらの講演会の前後にいきなり、尻拭き葉っぱを紹介するNHK『マサカメTV』の取材と収録が入り、ここでも正味10時間くらい舌を酷使しなければならなかった。実際に放映された内容は私が期待した1~2割に過ぎないが、テレビでの貴重な第一歩を踏み出したことは間違いない。
10月に入ると岐阜と長野と岡山でまず4講演。そして極めつけは27日に、日吉の慶応義塾で10~18時の間に連続3講演。その後の夕食では熱心な学生数名を交えて、遅くまで話に花が咲く。しかも彼らと翌朝6時半に待ち合わせ、日吉キャンパスの森で連れ野糞! ここでも2時間しゃべりっぱなし。その直後の医科歯科大学病院での診察では、「舌の右半分(がんになった部分)が強張っています。がんの再発はないようですが、一度完全に口内炎を治さないといけません」。ごもっともな診断が下った。
翌週末の11月7~8日は、九州の伊万里と佐賀で講演会が決まっていた。今度こそはと慎重に、講演以外のしゃべくりを極力抑えた。その甲斐あって帰りがけの病院では、それまで半月ごとの診察だったのが、「次の診察は一ヶ月後にしましょう」。ちょっとうれしい結果が出た。年内は、残るは11月26~29日の佐渡ヶ島・新潟講演のみ。その後は来年2月末の講演まで予定は入っていない。この調子で今年最後の講演旅行を済ませ、冬の間はゆっくり舌を休めて完治しよう。心積もりはそうなのだが…